このたび情報デザイン学科の教員が、2026年6月22日〜26日にドイツ・ハンブルクで開催される国際会議「ISC High Performance 2026」のポスターセッションにおいて、研究成果を発表することになりました。
ISC High Performance は、毎年6月にドイツで開催される高性能計算(HPC:High Performance Computing)分野の国際会議です。11月に米国で開催されるSCと並び、HPC分野を代表する国際会議として位置づけられています。両会議はいずれも大規模な展示会を併設していることで知られ、世界のスーパーコンピュータの性能ランキングである「TOP500」が、ISC(6月)とSC(11月)の年2回、それぞれの会期中に発表されます。
こうした、分野の中心的な場で発表するポスターセッションは、研究内容についてその場で世界各国の研究者と直接議論できる場でもあり、貴重な機会になると考えています。
なお今回は、主著者(吉川)が現地へ渡航することがかなわないため、共著者である大阪大学の伊達進教授に代理でご登壇いただきます。
AIワークロードを機能の粒度でスケールする新しいリソース分離型コンピュータの概念図
今回の発表タイトルと著者は次のとおりです。
Proposal and Evaluation of Software-Defined Resource Disaggregation for Containerized AI Workloads
Takashi Yoshikawa¹˒² Susumu Date² Masaki Kan³ Takashi Takenaka⁴
¹ Dept. of Information & Data Science, Notre Dame Seishin University
² D3 Center, The University of Osaka
³ Little Wing, LLC
⁴ Secure System Platform Laboratories, NEC Corporation
本研究は、AIワークロードを効率よく処理するための計算資源(リソース)の使い方に関する提案です。従来のシステムは、CPUとGPUなどのアクセラレータが各ノードに固定的に結び付いているため、大規模なAI処理ではリソースを十分に活かしきれないという課題があります。そこで本研究では、アプリケーション全体ではなく、ボトルネックとなっている機能だけを選んで増強する「機能単位のスケーリング」と、それをハードウェアの変更なしにソフトウェアだけで実現する「リソース分離」の手法を提案しました。データのやり取りには低遅延の通信技術を用い、必要な部分だけを柔軟に増減できる構成としています。
評価では、Jetsonを用いた計13ノードの実機環境を構築し、人物再同定(Re-ID)の映像処理を対象に実験を行いました。その結果、ボトルネックである特徴抽出の機能だけをスケールさせることで、処理性能を15 FPSから60 FPSへ向上させ、目標性能を達成しました。あわせて、性能の上限を決めているのはソフトウェアの処理負荷ではなくネットワークの帯域であることを実験的に明らかにし、今後はネットワーク層の最適化が鍵になることを示しました。ハードウェアを変えずに柔軟な構成を実現できる、現実的で費用対効果の高い手法であると考えています。
人物を特定し追跡するAIアプリのうちボトルネックである特徴抽出の機能だけをスケール