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2019.11.13

ロサンゼルス講演――「いかにユダヤのユーモアを日本語に翻訳するか」|広瀬佳司教授

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英語英文学科

エッセイ

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ロサンゼルス講演――「いかにユダヤのユーモアを日本語に翻訳するか」
広瀬佳司教授

8月14日に関西空港を飛び立つまでは、台風10号の影響をとても心配したが、空港に着くと何とか飛ぶということがわかりほっとした。それもつかの間、遅れそうだというアナウンスがあり、最後まで心配したが、30分ほど遅れて飛び立った。大した揺れもなく無事にロサンゼルスに着陸した。今回私を招聘してくれたイディッシュ語協会の主催者である友人ミリ・コーラル、カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)講師が待つので入管へ急いだ。

2時間以上ミリを待たせたが、到着ロビーで辛抱強く待ってくれていたので、私もほっとして彼女とハグをした。今回は、ホテルではなくヴェニスという観光地の民宿を選んでいたので、そこへ連れて行ってもらった。イタリアのヴェニスを模して造られた人工運河が1.6平方マイルにめぐらされた高級住宅地である。その一角にあるお宅の裏に建てられた平屋の一部屋を間借りした。

講演当日は、リハーサルのためサンタ・モニカ・シナゴーグに講演会の2時間前に到着した。今回のテーマは「いかにユダヤのユーモアを日本語に翻訳するか」であった。イディッシュ語という、戦前の東欧・ロシアのユダヤ人が用いていた言葉におけるユーモアを主題にしたので、ある程度イディッシュ語が分かるユダヤ系の人々は終始大爆笑である。私の講演がユダヤ系のアメリカ人にはとても喜ばれてほっとしたのは事実だ。

質疑応答では、日本のユーモアについての質問が多く出たので私は落語や小話などを披露した。多音節の日本語では、駄洒落の言葉遊びがいかにたやすくできるかも説明した。

質疑応答の場面

質疑応答の場面

『屋根の上のバイオリン弾き』が日本で人気を博すのはなぜか? 日本にはロシアであったような「ポグロム」(大量虐殺)はなかったから理解できないのではないか、という質問だ。「日本には、親子関係の強さや、伝統の大切さという共通点があるために、日本人は『屋根の上のバイオリン弾き』にとても共感を覚えるのです」と答えた。しかし、質問した中年男性は、あまり満足してはいない様子であった。50人弱の参加者の3割程度の人が手を挙げるので、とうてい時間が足りずすべて答えるわけにはいかなかった。

「ユダヤのユーモアと日本のユーモアの類似点はなんですか?」という興味深い質問があったので、「大阪にはユダヤ的な自分を貶めるボケとツッコミという笑いがあり、意外な共通性があるのです」という説明をするとにっこりして頷かれた。文化の違いもよいが、共通性も見ておかないといけない。30分ほどの質疑が終わり、何とか責任を果たせたかなと安堵した。

英語英文学科
広瀬佳司教授(教員紹介)

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