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日本語日本文学科

2018.10.01

海外の国際学会で活躍する日本語日本文学専攻の大学院生|東城敏毅|日文エッセイ180

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日本語日本文学科

日文エッセイ

【著者紹介】
 東城 敏毅(とうじょう としき)
 古典文学(上代)担当 古代和歌、特に『万葉集』について、研究を進めています。

  海外の国際学会で活躍する日本語日本文学専攻の大学院生

 文学研究科日本語日本文学専攻には二人の大学院生、博士前期課程に大岡愛梨沙さん、博士後期課程に轟原麻美さんが在籍している。大岡さんは村上春樹をテーマに修士論文を、轟原さんは、司馬遼太郎をテーマに博士論文を目指し、毎日研究に勤しんでいる。彼女ら二人は今年度、ともに海外の国際学会で研究発表を行った。本エッセイでは、二人の学会発表についてと、その様子を報告しておきたい。

 大岡愛梨沙さんは、5月26日・27日に台湾の淡江大学にて開催された「村上春樹国際シンポジウム」に参加し、「『海辺のカフカ』における「暴力」と「癒し」」と題して学会発表を行った。この淡江大学には、アジアにおける村上春樹研究の拠点である村上春樹研究センターが設置されている。

大岡さんは、『海辺のカフカ』を丁寧に詳細に分析し、従来、主にエディプス・コンプレックスと戦争から論じられてきた本作を、作品に即して、「暴力」と「癒し」という二つのキーワードを用いながら、本作に込められた主題を分析した。そして、作品内で触れられる、フランツ・カフカの『流刑地にて』、夏目漱石の『坑夫』、そして、プラトンの『饗宴』と本作との関係を分析し、これらの作品が本作と密接に「共鳴」していることを立証したのである。淡江大学の落合由治先生や、東呉大学の頼錦雀先生等からの鋭い質問に、臆することなく、端的に核心を突きながら応答していた。木下華子准教授と私が引率し、かつ博士後期課程の轟原さんも台湾まで応援に駆けつけた。

淡江大学での学会発表:大岡愛梨沙さん(撮影:東城敏毅)

淡江大学での学会発表:大岡愛梨沙さん(撮影:東城敏毅)

台湾のハルキストが集まるカフェ(撮影:大岡愛梨沙)

台湾のハルキストが集まるカフェ(撮影:大岡愛梨沙)

轟原麻美さんは、8月12~15日に中国の内モンゴル自治区のフフホトにある内蒙古大学にて実施された「中国日本文学研究会全国大会及び国際シンポジウム」に参加し、「司馬遼太郎「兜率天の巡礼」における幻想」と題して学会発表を行った。

『ねじまき鳥クロニクル』の主人公の食べていたサンドイッチをイメージ

『ねじまき鳥クロニクル』の主人公の食べていたサンドイッチをイメージ

轟原さんは、従来あまり研究されていなかった司馬遼太郎の初期作品「兜率天の巡礼」を、景教と古代日本との関係性や、作品に織り込まれた執筆当時の社会背景をもとに考察した。そこから司馬初期独自の幻想小説と見られてきた本作は、十分に社会性を備えたものであり、後に歴史小説家として評価されることになる司馬の特質が見出せることを解き明かした。会場からも多くの本質的な質問が出され、それに堂々と端的に答えており、海外の研究者にも興味のある有意義な発表となった。本学会には木下華子准教授が引率し、轟原さんの学会発表を支援した。

内モンゴルの草原(撮影:木下華子)

内モンゴルの草原(撮影:木下華子)

学会会場にて発表中の轟原麻美さん(撮影:木下華子)

学会会場にて発表中の轟原麻美さん(撮影:木下華子)

現在、日本文学の研究も、国際的・学際的になってきており、もはや日本だけに留まっている時代ではない。大岡・轟原、二人の院生は、それを敏感に感じ取り、海外に飛び出して行った。そして、海外の研究者と互角に渡り合い、そして交流を深めてきた。本学科に彼女らのような大学院生がいることは、非常に心強いことであり、また、これから入学してくる大学院生にも、新たな指針を示してくれた。二人の新たなチャレンジに心からの拍手を送ると同時に、二人の研究の、これからの発展を心より祈念したい。

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