この大学に赴任を命ぜられてから、いつしか27年の歳月が流れ、その間、大学は創立20周年、30周年を祝い、今また、40周年を祝おうとしています。この歩みを終始お護りくださった善き神と、数多くの方々に心から感謝しています。
30年ほどの間に大学のたたずまいも大きく変わりました。教職員、学生の数も、建物、設備も充実発展しましたし、昔の卒業生の中には、今の学生たちの服装、持ち物、髪形、そして行動の自由さにお驚きになる方もおありかもしれません。
自身がいわゆる“新人類”であるはずの4年生が、「今年の1年生はわからない」などと呟いているのを聞くと、年齢差の大きく開いた者はどうなることかと考え込んでしまうこともあります。
時代とともに必然的に変るものがあります。しかしながら、いつまでも堅持すべきものがあって、それが「清心スピリット」と呼ばれるものなのです。「たいせつなものは目に見えない」とは、星の王子の言葉ですが、この清心スピリットも、目に見えるものではなく、しかも、たいせつなものなのです。
そしてそれは、他ならぬ創立者マザー・ジュリーのスピリットなのだと言っていいでしょう。マザーは、「信じること、愛することを知る女性」と評された人でした。その娘たちである私どもの今日の生活の中に、果たして、どれほどこのスピリットが生かされているでしょうか。
信じること―それは、私たちに送られてくる一つひとつのことを、善き神のみ手から来るものとして、ありがたく“頂く”ことに現わされます。
愛すること―それはほほえみを忘れることなく、自分をも他人をも“ごたいせつに”生きることと言ってよいでしょう。
40周年にあたり、一人ひとりが「清心スピリット」について今一度考えたいものです。
「ノートルダム清心女子大学同窓会会報 第25号」(1989年9月発行)より転載