2020.07.01
図書館を楽しもう！ ～図書館総合展を知っていますか～｜近藤友子｜日文エッセイ201
日本語日本文学科
日文エッセイ
入試情報
【著者紹介】
近藤 友子（こんどう ともこ）
図書館情報学 司書課程担当
図書館における障害者サービスについて研究しています。
近藤 友子（こんどう ともこ）
図書館情報学 司書課程担当
図書館における障害者サービスについて研究しています。
図書館を楽しもう！ ～図書館総合展を知っていますか～
図書館総合展を知っていますか？図書館総合展とは、図書館を大きなテーマとして捉え、読書・出版・学術情報・資料保存・保管等に関する総合展示会ですが、その規模は公立図書館だけでなく、大学図書館や出版業界の企業なども含めて、図書館に関連する全国規模のあらゆる図書館や展示会、講演会、ワークショップなど、さまざまなものに及びます。図書館総合展運営委員会が主催で毎年10月から11月頃に3日間開催されています。第1回図書館総合展は1999年に開催され、2019年は第2１回図書館総合展として11月12日（火）から11月14日（木）に横浜市のパシフィコ横浜で行われました。
会場であるパシフィコ横浜は国際会議場と展示ホールなどがある大きな会場で、図書館総合展は全国規模で図書館関係者が参加する大きなイベントであり、会場内はお祭りのような熱気を感じます。
総合展の内容はさまざまで、会議場では多様なフォーラムやトークイベント、ワークショップが行われたり、展示会場ではブース展示やポスターセッションが展開されるなど、図書館に関わる人だけでなく、図書館に興味・関心のある人や、本が好き、という人にとっても楽しめる内容となっています。古本市があったり、出版社のブースで新しい情報を見聞きできたり、体験できたり、印刷関係や本に関わるＮＰＯ活動団体の紹介があったり、出版社がおすすめの本を紹介する企画などもあり、展示会場内は全国の多様な出版社の書籍をたくさん見るコーナーなども作られ、会場内を移動するだけでも広くて迷子になりそうです。
来場者は図書館員や出版関係者だけでなく、図書や本に興味を持つ一般の人もＯＫなので、一日あたり約1万人の来場者数があり、2019年度は3日間で30,402名の来場がありました。また近年では横浜で開催されるメインイベントのみならず、全国各地の図書館関係の施設においても地域フォーラム（1日から2日間程度）が開催されており、開催地域の特色や課題を取り入れたものとなっているようで興味深いです。
私はときどきポスターセッションに参加して来場しますが、2019年度は知り合いの司書さんたちと協力して「闘病記文庫」に関わるテーマを取り上げてポスターを制作し、ポスターセッションに参加してきました。5、6月頃からテーマに関して情報を集めて分析し、ポスターに盛り込む内容の相談を進めていきました。「闘病記文庫」というのは病気の人やその家族、友人などの体験記やエッセイを中心としたものもあれば、病気そのものに関する情報など、いろいろな病気や闘病に関わる資料が集められていますが、“闘病記（とうびょうき）”という名称（ネーミング）やその配架の場所、資料としての収集内容やコーナー設置の有無などは各図書館によってさまざまです。こうした点を捉えて闘病記文庫に関して①名称、②配架場所に対する意見をポスターで提案してみました。
3日間の開催期間の中で、私たちのポスター（写真１）に興味・関心を持ってくださった来場者の方々とディスカッションしたり、ポスターで提案した３つの名称に関してシール貼ってもらい、②の配架場所の例として作った簡易な模型（写真２）を実際に手で触って表現していただくなど、来場者と製作者のコミュニケーションが会場で直接体験できる貴重な機会ともなりました。
2019年度のポスターセッション参加グループは109組でしたので、私たちのように各グループがそれぞれのポスター前でテーマに添った内容の表現やパフォーマンスを繰り広げていたと考えれば、それを体験するだけで一日では時間が足りない！ということが伝わるかと思います。
図書館といえば静かなイメージを持たれる方も多いと思いますが、図書館人もやるときはやります！パフォーマンスもワークショップも講演会も・・・と、とにかくいろいろと図書館に関わることが楽しめるイベントです。是非一度は来場していただきたいなと思っています。
2020年度の予定は11月4日（水）～11月6日（金）です。いろいろな困難に見舞われた年ではありますが、開催されるならば、図書館に関わるさまざまな視点から今年はどんな表現が生まれてくるのか、希望をもって期待したいと思います。
図書館総合展に出展した闘病記文庫をテーマとしたポスター
闘病記文庫の配架場所を表現した手作り模型
