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児童学科

2014.03.19

児童学科│保育カンファレンスの体験 ─ あゆみ保育園にて

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児童学科

授業・研究室

児童学科ブログ 第16回

保育カンファレンスの体験 ─ あゆみ保育園にて

 ノートルダム清心女子大学では、文部科学省GPにより、保育現場・教育現場でのボランティア実習を通して学ぶ取り組みを実施しています。

 児童学科のボランティア実習では、子ども達と学校園でかかわった体験について語り合う、カンファレンスを行っています。

 今回は、あゆみ保育園での保育カンファレンスの様子をお伝えしたいと思います。学生達が語る保育体験に、小田睦史園長が応えてくださったその時間は、保育とは何か、子どもと出会うとはどういうことか、楽しく、そして深く、学ぶ機会となりました。

写真 あゆみ保育園を描いた1冊の本から(『どろんこまみれの宝石箱 ─ 岡山あゆみ保育園の33年』 きびと出版、1997年)

写真 あゆみ保育園を描いた1冊の本から(『どろんこまみれの宝石箱 ─ 岡山あゆみ保育園の33年』 きびと出版、1997年)

 この日の保育カンファレンスの参加者は、あゆみ保育園の小田園長、岩津主任、児童学科2年生の亀井さん、佐々木さん、田中さん、そして清心で保育を担当する教員の伊藤、西。和やかな雰囲気の中で、学生達はそれぞれに、あゆみ保育園でのボランティア実習体験から感じたこと、疑問に思ったことを率直にお話し、そして、どんなことにも答えていただけたのでした。

田中さん:ボランティアで、私は4・5歳児の遊びの中に入りました。みんな元気にコマ回しをしていたのですが、私が入ったことで子ども達が集まってきて、「じゃんけんゲームしよう!」って呼びかけられたんです。私は嬉しかったんですが、保育全体の流れを考えると、どう対応していいのかと迷いました。
小田園長:子ども達に、「この人と遊びたい!」と思われたことは、何よりよかったですね。全体の流れについては聞いてもらえればいいですが、基本的には担任が考えて、必要に応じて実習生に情報提供していくもの。だから、実習生が来てくれたことや、そこで生まれてくる予想外の事態も糧にして、その日の保育を展開していくのが、担任や私達、園の力量だと思います。
 子どもは一緒に遊んでほしいのが基本。それがコマになることも、じゃんけんになることもある。40人の子ども達が遊ぶとき、コマへの集中が30分ずっと続くわけでもないしね。
 大事なのは、子どもと遊ぶこと、向き合うことです。

佐々木さん:私は1歳児のクラスに、初めて入らせていただきました。ごはんの時間、ある男の子は最初泣いていたんですが、そばにいて食べるのを手伝ってあげたりしているうちに機嫌がよくなってきて、私に「こっち来てー!」と言ってくれました。でも、隣の女の子は私に「あっち行ってー!」と言うので、どうしたらいいのか迷いました。男の子はどんどん甘えてくるから、そばに行ったり、女の子の言うようにちょっと場所を変わってみたりしたんですが...
小田園長:そういうことを解決するのには、時間が必要ですね。あちらを立てればこちらが立たずで、正解というものはないです。
 構ってほしい気持ちが、かえってそんな言葉になることもあります。だから、「あっち行って」と言われても、「そんなこと言わずにぃ」と言ったりしているうちに折り合いがつくこともある。「じゃあ、反対側に座るよ」という対応も考えられる。「あっち行って」は、視界から消えることを求めているわけではない。間に一人置くと違ってくることもある。
 正解は一つじゃない。子どもの思いと、私達のあり方と、その着地点を、時間をかけて見つけていくのは、保育の中の楽しみの一つだと思います。

亀井さん:私はあゆみ保育園で保育実習をさせていただきました。後日、実習日誌を取りに伺ったとき、子ども達が「おねえちゃんがいなくて寂しい」とお家で話してくれていたと聞いて、嬉しかったです。またボランティアに来させていただければと思います。
小田園長:大丈夫ですよ。ボランティアのみなさんのように、善意を持った人とどれだけ出会えるか ─ それが、子ども達にとっての財産になると思います。子ども達とのかかわりについては、いろいろ試行錯誤することになるけど、失敗が許されるのが学生・実習生。たとえ失敗に見えたとしても、それを課題として捉えるなら、次に向かう成功の材料に過ぎないわけですしね。また、あゆみ保育園だけじゃなく、いろんなところを見てもらえればと思います。園には園の文化というものがあって、うちはその一つでしかないわけだから。
 子どもがそう言ってくれたのは、亀井さんが子どもといい関係を作ることができたということですね。子どもにとって、お母さんに提供する話題になったということ。子どもの生活にさざ波を立ててくれたということ。子どもの世界に、みなさんがいてくれたからこその広がりが生まれる。すごいことだと思います。

─ ■ ─ ■ ─ ■ ─ ■ ─ ■ ─

 まだまだ尽きない語り合いの中から、ほんの少しだけをご紹介しました。
 あゆみ保育園を訪れて、いつも感じるのは、どんなことにも答えてくださるということ。それも、「これで解決」と思考停止するような、単純な答えではない。私達が自分自身で答えを探していくのを、励ます言葉だと思います。その言葉は、日々子ども達と出会ってきた体験に支えられています。
 保育者を育てるということについても、出会うたび教えられる気がします。保育者を育てる教員は、保育の最新理論だとか、環境構成のノウハウといった技術を伝えていくことも必要かもしれない。でも、一番大事なことは、その人がいることで、明日、またよりよく保育に向かうことができること。たとえ遠くにいたとしても、かつてその人と出会ったことが、保育者として自分自身が歩んでいく、探究の過程を支えてくれること。それが、大学が ─ そして保育者を育てる者が、果たすべき役割なのだと思います。

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