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人間生活学科

2015.01.06

2014年度・卒論短評|横山學|生活文化史学研究室

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人間生活学科

授業・研究室

今年の卒業論文の課題研究
 研究成果の完成度はともかくも、今年もゼミ生は興味深い課題に取り組んでいます。簡単に、紹介します。

1.日本人にとってのサンドイッチとその歴史
 日本に「サンドイッチ」が入ってきたのは、明治時代。西洋料理の一品として、当時のメニューに載っています。「パン生地の間に食材を挟む」「摘んで食べる」という食文化が入りました。研究の始まりは『100 Varieties of Sandwiches (100種類のサンドイッチ)』、レシピの本です。著者はマリー・ウッドマン。第二次大戦の「戦時下出版」という状況下にロンドンで出版されました。OAさんは、著者の情報を探り、本を翻訳し、食材の種類と調理方を整理しています。また、「サンドイッチ」という言葉の裏には、「シャレた」「ハイカラな」「西洋風の」「手軽な」などの意味を含み、近代の小説などに「表現」され、日本の食文化として定着します。仕上げは、レシピ通りのサンドイッチを作り、ゼミで試食します。

2.身近な孤独を味わう文化
 現代社会には「孤独」と仲良くする「仕組み」が多くあります。かつては「孤独」は、「暗く」、ネガティブを意味する言葉でしたが、現在では積極的にそれらを求める人たちがおり、別の意味を含み始めました。HNさんは、尾崎放哉、谷川俊太郎の詩(「孤独」をテーマ)に魅せられて、研究が始まりました。研究論文をはじめ、「おひとりさま」「ぼっち食」にも注目しました。生涯の大半を独り森の中で過ごした人(デルス・ウザーラ)についての著作も読みました。そのようにして現代社会を見てみると、「孤独」に親しむ場所や市場、孤独に悩む人たちと「いのちの電話」などなどの救いの場が随分あることに気が付きました。「孤独」の意味、「味わう場所」の具体例、それらを受け入れる社会の仕組みについて研究しました。

3.明治期日本にとっての「ハワイ」
 日本とハワイの関係は、明治元年に耕地労働のために受け入れられた移民が始まりでした。その後、一時期ハワイの人口の半分以上が日系人で占められるまでに増加します。長い近代の歴史の中で、日本にとっての「ハワイ」像は、時代によって変化します。HYさんは、当時の新聞に載せられた「ハワイ」情報を分析し、日本人の読んで知った「ハワイ」像を研究しました。

4.「ウソ」についての文化的研究
 日本人の考える「ウソ(嘘)」と西欧人の考えるそれとは、同じ「意味」を持つのか。これが、OSさんの抱いた最初の疑問でした。「ウソ」とは、どのようなことを意味するのか。まず、「ウソ」の語源的意味を知ることから始め、文学作品(夏目漱石)中に記述された「ウソ」を例文として取り上げ分類し、近代の日本文化の中で用いられた「ウソ」の幅広さを見てゆきました。

5.分かち合いの文化:シェアハウスを例として
 今日、巷で目にする「シェアハウス」「シェアールーム」の魅力はどこにあるのか。単なる共同生活ではなく、現代社会の求める「分かち合い」として、何を期待して人々は興味を抱くのか。住居の共同生活について、実際の仕組みを調べました。

6.「あと継ぎ」問題を考える
 後継者を確保して社会を維持することは、個人に限らず、現代社会の大きな課題です。産業を維持し、事業を継続し、家業・家系を保たせるためには、確実に後に続く人を確保しなければなりません。身近な問題として、OAさんはこの問題を捉えました。複数の産業、職業についての現状を調べました。またDNAの「後継ぎ」問題として、最近の話題「タイの代理出産問題」の新聞記事も追いました。

7.伝統文化をつなぐ社会の仕組み:具体的制度に注目して
 「伝統的文化」を将来に、どのようにして受け継ぐか。これを、個人としてではなく、社会の仕組みはどのように整っているかについて考えてみました。TAさんは何度も京都に出向き、伝統技術の職人たちから、技術継承の実情について具体的に話を聞きました。また、伝統文化を継承するために補助・援助している財団法人の事業内容と、時代性について分析しました。

8.ヘレン・ケラーがやって来た!:日本に残した軌跡
 重いハンデキャップを負いながら、立派に活躍しているヘレン・ケラーの来日を知らせる報道が、日本中に流れました。新聞の見出しには、その三度の日程を知らせる記事のみならず、迎える側の「受け取り方」が読み取れます。彼女を「どの様に位置づけ」、彼女の来日に何を期待したか。当時の日本社会、とりわけ福祉の姿勢や、身体障害に付いての意識の違い、この来日を何かに利用しようとする社会の存在が分かりました。福祉の世界に踏み出そうとするUKさんは、当時の朝日新聞記事を克明に収集し、分類・分析して、それらを探りました。彼女が本学に滞在した記事を見つけ、大学の歴史にとっても、新しい発見がありました。

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