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日本語日本文学科

2018.01.16

学会活動|国語教師として帰ってくる場 ― 国語教育研究会(三時の会)のご紹介

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日本語日本文学科

学科ダイアリー

学会活動|国語教師として帰ってくる場 ― 国語教育研究会(三時の会)のご紹介

ノートルダム清心女子大学日本語日本文学会は、本学の日本語日本文学科・日本語日本文学専攻の教職員と学生・大学院生が中心となって組織している学会です。毎年研究発表会を開催し、また機関誌『清心語文』を発行しています。
その学会の一組織として国語教育部会があります。この国語教育部会が開催している研究会、通称「三時の会」の活動をご紹介します。

当日の様子。

当日の様子。

「三時の会」について

 「三時の会」は、正式な名称を「ノートルダム清心女子大学日本語日本文学会国語教育部会 国語教育研究会」といいます。1996年に、当時本学の教員であった田中宏幸氏(現・安田女子大学教授)が中心となって発足し、同じく元教員の大滝一登氏(現・文部科学省初等中等教育局視学官)を経て、現在は伊木洋准教授が運営を引き継いでいます。

 この会は、国語科教師として教壇に立つ清心の卒業生が帰ってくる場所、また後輩の学生たちが彼女たちから学ぶ場所を作ることを目的としています。

といっても、同窓の者同士の親睦を図るだけではありません。
会員それぞれの試行錯誤の結果や工夫の成果を、互いに伝えて意見を交換したりする場です。
この会は、現役教師ができるだけ参加しやすい時間ということで、土曜日の午後三時に開催されます。それで「三時の会」。
2017年10月に開催された第110回例会を、取材してきました。

普段は伊木准教授の他に、岡山県内で教鞭をとる卒業生が主な出席者ですが、この日は午前中に教育実習に関する事前準備の講義を受けた在学生たちも来ています。
この日は、お二人の卒業生が、それぞれの実践について報告されました。

赤澤扶美子先生「生徒とつくる学校図書館 図書委員の活動の活性化」

実践報告のお一人目は、赤澤扶美子(あかざわ・ふみこ)先生(岡山県立興陽高等学校)の「生徒とつくる学校図書館 図書委員の活動の活性化」というお話。
国語科の教員免許の他に、司書教諭免許もお持ちの赤澤先生は、岡山県立図書館での勤務経験もあります。学校図書館運営にはうってつけの人ですね。

限られた予算で資料や設備をどう整えるか、学校の図書館を授業に活用するにはどうしたらいいか、生徒に親しまれる図書館作りとはどのようなものか...どれも一筋縄ではいかない問題に、どんどん挑戦していった事例を、あれもこれもと盛り込んで説明してくれました。
「図書館で朗読会をした」というのは分かりやすいですね。
「吹奏楽部・軽音楽部のミニコンサート」も行ったそうです。なるほど。
「ファッション技術科とのコラボでシルクスクリーンで委員会の腕章を作ったり、書道部が『図書館の自由に関する宣言』を仮軸装にして展示した」...一瞬「はて?」と思いましたが、これは『図書館戦争』ですね! 学校全体を巻き込むアイディアとバイタリティがすごい。
「生徒に図書館の活用を促すだけでなく、教職員側の意識改革も必要だと思う」と、今感じておられる課題を話してくれました。実際に教壇に立つ前からこれを聞ける学生たちは、幸せだなあと思いました。

畝岡睦実先生「21世紀型スキルの育成を目指した「読むこと」の授業~遠隔地間の高校をICTで結んだ協同学習を通じて~」

お二人目は、畝岡睦実(うねおか・むつみ)先生(岡山県立岡山南高等学校)の、「21世紀型スキルの育成を目指した「読むこと」の授業~遠隔地間の高校をICTで結んだ協同学習を通じて~」というお話。
前任校の岡山県立岡山城東高等学校で試みた、「京都・奈良の高校と一緒に、文学に関する新聞記事(社説・コラム・広告等)を作成する」という授業について話してくれました。
情報技術(ICT)を用いて、3府県の教室で同時に新聞の編集会議を行ったそうです。時代はもうそこまで行ってるんですね...。

ただ、そのような「ハイテクを用いる」こと自体がこの実践の目的なのではないようです。
いわく、校外の生徒と協同することが必然的に「他者の視点」を取り込むことになり、自分たちのものの見方を内省することになったり、自分が普段受けている授業の枠組を相対化して眺めることにつながったと思う、ということでした。
そうした視点の深まりをもって編集された記事は、読み応えのあるものになっています。
この授業で生徒が実際に執筆したコラムも読ませて貰いました。
『平家物語』や現代小説『神様』『神様2011』(ともに川上弘美著)を取りあげて、文学のあり方を
1000字程度にまとめたものですが、「...それを味わい痛感することができるのが「文学」なのだ。」と締めくくる堂々たる文章で、高校生がこれだけのものを書けるようになるのかと感嘆しました。当日、伊木准教授が学生たちに「畝岡睦実という指導者の持っているチャレンジの精神を見て欲しい」と言っていました。よく分かります。
 
帰ってくる場

赤澤先生も畝岡先生も、日々の奮闘の様子を、後輩たる学生たちにみせてくださいました。
今後取り組むべき課題も残されていると感じているようで、そのことも話してくれて、当日は卒業生以外の方々も交え、質疑応答が交わされました。
授業を受ける側からは普段あまり意識されない、「先生たちも勉強している」という場面を垣間見たように思います。
教員免許を取得して教壇に立つことは、当たり前の事ながらゴールではなくてスタートです。
大学は学生がそのスタート地点に立つまで導くのが役割ですが、その後も卒業生は教師として長い長い道のりを歩んでいきます。
その折々に、各自の取り組みや悩みを持ち寄って帰ってこられる場も、本学科・本学会は提供し続けます。いつでも気軽にお帰りください。

赤澤扶美子先生(左、岡山県立興陽高等学校)と畝岡睦実先生(右、岡山県立岡山南高等学校)。実践報告を終えて。  

赤澤扶美子先生(左、岡山県立興陽高等学校)と畝岡睦実先生(右、岡山県立岡山南高等学校)。実践報告を終えて。  

※ 「三時の会」の活動に興味をお持ちの方は、伊木洋准教授までお問い合わせください。
※ 第100回例会の様子を、伊木准教授がエッセイに綴っています。こちらもぜひお読みください。
  実践即研究の精神|伊木 洋|日文エッセイ147
 
文:日本語日本文学科広報小委員会・星野佳之

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