012 究極奥義の片鱗 ― 実践の中のリベラル・アーツ
■ 保江邦夫(やすえ・くにお)先生
(大学院人間複合科学専攻 教授・情報理学研究所 所長)
2010. 04. 21
朝日放送系列の、もはや長寿番組となった「クイズ!紳助くん」。
保江先生が先日出演された、「物理流力学柔術」の回をご覧になった方も多いでしょう。漫才コンビ「プラスマイナス」の岩橋さんが持つ、天性の才能が発揮されるのは、感動的でした。
物理と武道の究極奥義は、お笑いの道にもつながっているんですね。
そう、保江先生は、確率変分学の開拓者として知られる世界的な物理学者であり、数学者であり、武道家であり… そしてもちろん、本学の教育者でもあります。
それから… いつ出会っても、自由な気持ちでいられる方です。
そんな保江先生の、奥義の片鱗を、ご著書から少しだけ、ご紹介しましょう。
『武道 vs. 物理学』(講談社+α新書)
本学ジュリーホール・中庭にて
表紙は、先生ご自身が、無の境地に至って究極奥義を決めたところ。
軽々と相手を投げ倒していますね。
いまや道場では武道の師範でもある、保江先生。しかし、正直子ども時代は「運動能力ゼロ」、スポーツや体力勝負は一種のトラウマでさえあったというのです。
それが、先生の人生の道程のなかの、ある日を境に、鍛え上げた猛者をも簡単に投げ倒してしまうことができるようになりました。
そんな究極奥義を操れるようになったとき、武道の達人技という夢物語をあきらめて以来、研究に明け暮れていた理論物理学者としての30年の人生が、急に大きな意味を持つようになった。なぜなら、物理学の理論、特に力学や運動学の原理や法則に照らし合わせることによって、効果的に相手を倒す武道の達人技の数々のからくりを明らかにするだけでなく、武術家や格闘技選手の多くが経験によって組み立ててきた身のこなしの不備を指摘し、より効果的な技とするための改良を進言することもできたからだ。
僕自身の「本業」である物理学から武道を科学的に分析すると、誰もがおどろく隠された真実の数々が明らかになる! これは、とても新鮮な発見だった。気がつくと、理論物理学者というよりも、理論武術家と呼ばれることに喜びを覚える自分がいた。
そうか、僕がこの人生でやり残していたこと。それは、神秘的で不思議な技という感覚的な評価に終始する運命にある、伝説的な武道の達人のみが操ることができた究極奥義までをも物理学の理論的な枠組みの中で科学的に解明することなのだ。だからこそ、その究極奥義を身につけた希有な達人を探し出した上で研究対象となってもらうという七面倒くさい手間を省く意味で、この僕自身がどういうわけか武道の究極奥義を操ることができるようにしてもらえたにすぎない!
…科学的な研究によってレベルが下がってしまう、あるいは化けの皮が剥がれてしまうような武道などはもとより大したものであるはずもない。真に武道の達人が長年にわたる過酷な修行と鍛錬、さらには血の滲むような創意工夫の努力によって見出した武道の究極奥義の偉大さや素晴らしさは、物理法則を駆使した科学的研究を重ねることによって初めてわかってくるものなのだから。 (『武道 vs. 物理学』「はじめに」より)
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一読しただけで究極奥義が楽しみになってしまいますが、そんな方はぜひ、本書で続きをご覧ください。
理論と実践の相克みたいなことがよく言われますが…
外から実践を眺めて勝手にあれこれ…ではなくて、
実際に自分自身でやってみる(ふつうできないから、すごいことなんですが…)。そしてそれを、学問の垣根にとらわれず、本当の意味で理解していくということ… それはわくわくする体験です。
実践のなかに、リベラル・アーツがある。
先生の姿から、その奥義に触れられる気がします。
― 付記 ―
22日、『NHKニュースコア6』に保江先生が生出演されます。今日はその前日…
このダイアリーのことで、先生にお会いしました。
著者に出会える体験って、すごいことですね。同じノートルダムホールの屋根の下、一緒に働いている先生ですが…
短い時間に、いろんな方角のさまざまなことを、楽しくお話しすることができました。
最後に先生が、「明日のやる気が出たよ」と言ってくださいました。放映が楽しみです。
『武道 vs. 物理学』 保江邦夫 著 講談社+α新書![]()
クイズ!紳助くん
プラスマイナス・岩橋さんのコメントが載っています。
保江邦夫先生の紹介はこちら
→ 保江邦夫先生 インタビュー|nanairo palette
→ 保江邦夫教授(教員紹介ページ)



