2017年
06月29日

6月29日 聖ペトロと聖パウロの祝日

日本の建築史に名を残すアントニン・レーモンドは、1919年旧帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの助手として来日します。2年後には設計事務所を開設し、戦前戦後を通じて多くの建物を設計しました。戦前の代表的なものに1929年竣工のノートルダム清心女子大学本館(岡山市・有形登録文化財)があります。

1945年6月29日未明、岡山市街地はアメリカ空軍による大規模な空襲を受け、死傷者は8000名に及ぶと伝えられています。大学本館は焼失を免れましたが、正面をレンガ造り、木造の作りの上を漆喰で固めたロマネスク様式の建坪120坪を誇る1899年献堂の岡山教会聖堂は、焼失しました。

第2次世界大戦中アメリカにいたレーモンドは、アメリカ軍カーチス・ルメイ司令官の意向で焼夷弾の効果の実験のため、ユタ州の砂漠に日本の木造家屋の街並みを再現します。いわゆる、JAPANESE VILLEGEと呼ばれるものです。この実験は東京大空襲をはじめとする日本の戦略爆撃に生かされてゆきます。

また、ルメイは広島長崎の原爆投下の責任者として名を残します。一方、日本を愛し、自分の設計した建物がある都市を破壊することに協力することになったレーモンドは、戦後来日し南山大学、新発田教会、上智大学などの設計を行ってゆきます。

教会が偉大な使徒たちに思いをはせる日、大学は時代にほんろうされた一人の建築家に思いをはせる日でもあります。

学長・キリスト教文化研究所教授 原田豊己

※この記事は原田学長(広島司教区司祭)が『聖書と典礼』(オリエンス宗教研究所、 2014年6月)に寄稿した記事を転載しています。

キリスト教文化研究所
原田豊己
『聖書と典礼』(オリエンス宗教研究所)(外部サイト)