今年も新学期が始まりました。人間生活学科は今年度88名の新入生を迎えることとなりました。4月1日(土)の入学宣誓式に始まり、一週間程度のオリエンテーション期間中に履修方法などの学習面、学内施設案内、通学などの生活面など、様々な説明を受けることになります。

 毎年上級生(3年生、4年生)の協力学生さんたちが、入学前から様々な準備をしてくれます。特に4年生は就職活動と並行して活動することになりますのでたいへんです。オリエンテーション内容の多くが協力学生主導で行われますのでその努力を考えると本当に頭が下がります。

 さて、そんなオリエンテーションの中でも一番の大イベントは蒜山高原での一泊二日の合宿です。その主な目的は「大学の理念、学科の性格や内容を理解する」ことと「ともに語り合える仲間をつくる」ことです。とはいえ新入生の専らの関心事は後者のようで、オリエンテーション後の感想文を読んでも、その多くが友達ができるか心配で緊張していたという内容でした。

 本人たちの努力と先輩(協力学生)のサポートにより、友達をつくることができてほっとしたという感想を持った人が多かったようですが、いまひとつうまくいかなかった人も、まだまだ学期は始まったばかりですので前向きに取り組んでくれることを期待しています。

集合写真

 天気予報では、合宿二日目には雨が降りそうだとのことでしたので急遽予定を変更して、初日に恒例の塩釜冷泉散策を行いました。案の定、次の日は雨でしたのでよい判断でした。

塩釜冷泉への道

 幸い、体調を崩す学生もおらず、無事合宿から帰ってくることができました。オリエンテーション全体が滞りなく進められたのも、協力学生の先輩たちの貢献、担当教員のサポートがあったからこそです。新入生の皆さんにはそんな陰の努力にちゃんと目を向けて感謝する気持ちを持ってもらえればと思います。

 本日(3/15)、第29回社会福祉士国家試験の合格発表が行われました。今年の全受験者は45,849名で、うち11,828人が合格でした(合格率25.8%)。

 人間生活学科社会福祉士課程では、4年生7名が受験し6名が合格しました。新卒者の合格率は85.7%でした。

 詳細はこちら(厚生労働省報道発表資料)をご覧ください。

 就職活動の準備で忙しい2月の合間をぬって、当ゼミの3年生と神戸ファッション美術館や菊正宗酒造記念館、そして神戸市内を散策してきました。美術館では神戸開港からの150年に渡る服装史、朝ドラのモデルとなったファミリアの子ども服やグッズというべっぴん(特別品)等の展示が興味深く、楽しんでいたようです。

 神戸ファッション美術館にて

                          (神戸ファッション美術館にて)

 

 また、卒業を控えた4年生は学生生活も本当に残り少なくなり、日々卒業関連行事のために毎日のように大学にやってきています。さて、昨年経過報告をさせていただいていた卒業論文は、どうなったのでしょうか。それについて簡単にご紹介しましょう。

 

 ファストファッションに関する一考察についての研究では、ファストファッションがなぜ安く売られているのかについて調べ、岡山市内のファストファッション店の現状と女子大生のファストファッションの利用実態とそれに対する意識を調査しました。そして、その問題点について述べ、今後のファストファッションとの向き合い方を提案しています。

 観光資源の活用に関する一考察についての研究では、倉敷市の観光と言えば美観地区がよく着目されますが、観光客増加を目指して同市内の児島の観光に着目しました。児島はジーンズの町として知られていますが鷲羽山などの自然資源にも恵まれています。そこで、この自然資源を盛り込んだ公共交通機関を利用した観光ルートを提案しました。

 ウェディングドレスに与えるベール丈の違いによる印象評価についての研究では、ウェディングドレス姿をより美しくするにはどうすればよいのか、ベールがウェディングドレス姿に影響を与えているのではと考え、ベール丈に着目しました。丈の違うベールをつけたウェディングドレス姿の印象評価を行い、ベール丈の違いとウェディングドレス姿の印象の関連について述べています。ベールがウェディングドレス姿のイメージ作りに重要であることを述べています。

 低年齢化する化粧についての研究では、子どもの化粧を取り上げ、キッズコスメと女児向けファッション雑誌を調査しました。子どもの化粧についてはファッション雑誌に登場するキッズモデルやテレビに登場する子役などの影響を受けていたようです。今後の情報社会における子どもの化粧のあり方を提案しています。

 スカートの形状と丈の違いが視覚イメージに与える影響についての研究では、タイト、フレアー、ギャザーの3種の形状やミニ、ノーマル、ミディの3種の丈の違いによるイメージ計量を行いました。合計9種類のスカート製作、写真撮影、印象評価、統計解析を行っています。スカートの形状や丈によって、そのイメージに違いがみられることがわかったようです。調査したときの流行にも左右されると思いますが、現在はノーマル丈とミディ丈のフレアースカートが調査に協力してくれた人たちの着用したいスカートだったようです。

 B級ご当地グルメによる観光まちづくりに関する一考察についての研究では、姫路市を取り上げ、B級ご当地グルメを使った観光まちづくりについて検討しました。B級ご当地グルメに姫路おでんを選定し、その現状を成功例である富士宮やきそばと比較検討し、その普及のための問題解決策を提案しています。

 鉢の色の違いから見る観葉植物の印象評価についての研究では、インテリアの一部としてよく使われる観葉植物に着目しました。多種多様な観葉植物の中から文献や雑誌に掲載頻度の高いポトスを選び、鉢の色は店舗調査で多かった色を6種選んでポトスと鉢を組み合わせた写真を作成して印象評価、分析を行いました。観葉植物と鉢の色の組み合わせ方によって印象が違うことから、これらが部屋のイメージ作りに一役買うと述べています。

 『婦人画報』にみる明治・大正期の束髪に関するについての研究では、明治から大正期に発行された婦人画報を用いて束髪関連の記事検索を行い、日本髪から束髪への変遷について考察しています。髪型の変化だけでなく、束髪関連の装飾品や用具などの値段を調べて家計の視点からも束髪の位置づけを行っています。

 

 約2年間かけて取り組んだ卒業論文。振り返ってみると一人一人の成長をみることが出来ます。この経験が社会人としての一助になればと祈っています。

 昨年の12月に4年生は卒業論文の発表と本提出を済ませて、新年を迎えました。大学4年間の集大成というべき卒論研究の大仕事をやり遂げた達成感を味わっていたと思います。そこで、オガワゼミの4年生の卒論内容をちょっと紹介します。

 

 倉敷に住んでいるKさんは、倉敷市をこれまで以上に活性化させたいとの思いから、「倉敷ブランド」をテーマに選びました。「倉敷ブランド」は、かつて倉敷にあった地域ブランドでしたが、様々な理由で廃止されました。そこで、以前あった「倉敷ブランド」の問題点を洗い出し、また全国各地の地域ブランドを研究しました。それを基に、特色ある新しい「倉敷ブランド」を復活すべく、「食」にこだわった独自の提案を行いました。「倉敷ブランド」を求めて多くの人々が倉敷を訪れ、さらに賑やかで活気のある倉敷になってほしいとのKさんの願いが卒論研究に込められています。

 

 私たちは毎日の生活の中で、必ずごみを出しています。そのごみの排出量は時代とともに増加の一途をたどっています。そして、膨大なごみの処理について各自治体は多くの問題、課題を抱えて取り組んでいます。Iさんは、今日のごみの中で容器包装の占める割合が多いこと、また増加していることに気づきました。Iさんは、ごみとして出される容器包装について、国内の現状や海外の事例なども調査して、循環型社会構築に向けた新たな対処法を提案しました。

 

 将来、カフェを開業したいと強く思っているNさんは、特に自然とふれあうカフェにあこがれています。そこで、カフェを開業するにあたっての必要な要件を調べるとともに、現在、生活の中にごく普通に見られ利用されているカフェの歴史や進化についても調べました。さらに、岡山県や香川県で実際に営業している自然とふれあえると思われるカフェを訪れて調査した結果を参考にして、Nさんが抱いている自然とふれあえるカフェを具体的に提案しました。将来、カフェを開業するにあたって、きっと活かされるでしょう。

森の見えるカフェのテラス席

森の見えるカフェのテラス席

 

 香川県出身のNさんは、大学進学で岡山に来て、初めて「うらじゃ」を知り、「うらじゃ」の楽しさにはまりました。毎年、踊り子として「うらじゃ」に参加していたことから、卒論研究のテーマに、「おかやま桃太郎まつり」とその中核をなす「うらじゃ」を題材にしました。全国の祭りを調べてみると、「うらじゃ」は踊りと温羅化粧に独特の特徴をもつ、全国の「よさこい系祭り」のひとつで、現在「おかやま桃太郎まつり」の中心として開催されていることがわかりました。一方で、比較的歴史の浅い「おかやま桃太郎まつり」や「うらじゃ」が全国に知れわたり、また世代を超えて長く引き継がれていくにはどうしたらよいかと考えて、これからの「まつり」のあり方を考察しました。

うらじゃ演舞(岡山駅東口広場)

うらじゃ演舞(岡山駅東口広場)

 

 香川県在住のMさんは、地元で昨年開催されて第3回瀬戸内国際芸術祭2016を通して瀬戸内海の島々の活性化と地域振興を考察しました。瀬戸内国際芸術祭と国内外で近年数多く開催されている国際芸術祭との比較や、少子高齢化の進む瀬戸内の島々で行われた芸術祭の現場を実地調査して、地域振興における芸術祭の効果や課題を考察しました。

芸術祭参加作品「八人九脚」(沙弥島)

芸術祭参加作品「八人九脚」(沙弥島)

 

 当初から、コンクリートに興味のあったSKさんは、道路舗装に焦点をあてて、アスファルトと比較しながら、コンクリートの有用性や将来性について考察をしました。そのために、コンクリートやアスファルト、道路舗装の難解な専門書を探して、読み込んで、理解するという努力をし、独自の資料を作成して、論文を完成させました。また、現状を把握するために、東京都や神奈川県、岡山市内の舗装道路を現地調査してデータを集めました。正にコンクリート女子です。

コンクリート舗装系保水性舗装の道路

コンクリート舗装系保水性舗装の道路

 

 東京や大阪などの大都市部で活発に行われている商業施設の緑化が、大型商業施設が増えてきている岡山都市部ではあまり進んでいないと感じていたMさんは、岡山の都市部を快適で緑あふれる空間都市に創造できないかと思い、卒論のテーマに選びました。緑化の効果や最新の緑化技術を調べるとともに、東京都内の最近の事例から商業施設の緑化の新しい方向性と岡山市内や倉敷市内の詳細な緑化事例を比較して岡山の商業施設の緑化に関して考察し、地域性のある、より身近な緑化を提案しました。

イオンモール岡山のハレマチガーデン内の屋上緑化

イオンモール岡山のハレマチガーデン内の屋上緑化 

 

 最近話題の断捨離やミニマリズムなどに関心があったYさんは、自らもシンプルな生活スタイルを少しずつ実践していました。そこで、このシンプルライフを卒論のテーマとして、具体的に実践するだけでなく、体系的に捉えて考察してみることにしました。モノであふれた現代生活のなかで、モノを持たないことで得られるモノ、モノより大切な人間関係、もったいないに込められた真の意味、片付けの意味と客観的に見た自分の価値観、豊かな生活とは何か、など実践を通して、かつ論理的にシンプルライフについて考察しました。

 

 こうして、ゼミ生の興味や思考の多様さ、個性が存分に滲み出ている卒論を眺めてみると、2年生から一緒に勉強してきた学生の成長を思い知ることができます。・・・・・以上、オガワゼミから卒論の報告でした。

 人間生活学科では昨年(2016年)12月初旬に4年生の「卒業論文発表・審査会」を行いました。我がゼミの8名も無事(?)発表を終え、同月下旬の締め切り日までに卒業論文を完成、提出することができました。最終的な評価はこれからではありますが、卒業にめどがついたことで学生も心穏やかに新年を迎えられたことと思います。

 年末、新年というのは人間が勝手に時間を区切ったものにすぎず、それにはお構いなしに様々な出来事が日々起こっています。とはいえ、このような区切りを設けることで生活にメリハリがつくということも事実でしょう。特に気持ちを新たにし、日ごろあまり考えることのない少し迂遠なテーマや大所高所に立って世の中を考えるよい機会でもあります。例年、メディアでもそのような記事や番組が特集されたりもしています。

 その中の記事を一つ紹介します。日本経済新聞1月4日(水)付の「経済教室」欄、「大転換に備えよ(1)自由の気風・気概を羅針盤に~競争と再分配、豊かさの鍵~」で、猪木武徳 大阪大学名誉教授が執筆されたものです。少し長いのですが、特に心に留まった部分を以下に引用します。

「伝統的な米国社会には、競争の勝者に拍手を送り、勝者への嫉妬を潔しとしない気風があった。しかし決して競争を無条件に礼賛してきたわけではない。再分配への配慮と組み合わせて、競争に大きな社会的価値を認めてきた。

 経済活動という『ゲーム』は、個人の努力だけではなく運や社会的環境などのコントロールできない要素が結果を左右する。生得的な能力や家庭環境だけで競争の結末が決まるのであれば、勝者が特に祝福されることはない。勝者が獲得した富は、個人が独力で得たものではないという認識があったのだ。

 だからこそ競争を勝ち抜いたものが富を独り占めするのではなく、一部を社会に自発的に還元することで社会全体を豊かにするという再分配の哲学が意識されてきた。(以上、引用)」

 しかし「近年の米国のスーパーリッチには富の社会的由来を自覚せず、富を完全な自己の独占物だと考えるものが多くなってきたのではないか。(同じく引用)」という切り口で米国社会の問題点に切り込んでいます。論文の一部を切り取ったものですので、執筆者の意図を正確に伝えることができていないことを懸念しますし、異なる意見を持つ方もおられるでしょう。(少しでも興味を持っていただいた場合には原文をお読みいただくことを希望します。ネットなどで自由に読めるというわけではないので申し訳ないのですが。)

 おこがましいかもしれませんが、私は同様の問題意識を持っていましたので非常に腑に落ちましたし、"富を完全な自己の独占物だと考える"傾向は、米国だけでなく日本を含めた多くの社会にもあてはまるとも考えています。一方で、競争の勝者ではない『普通の生活者』の新しい動きにも注目しています。社会的課題が目に見えて大きくなってきたからなのか、社会の持続可能性に対して関心を持ったり積極的にかかわったりしようという意識が大きくなりつつあるように思います。あるいは、大きくなっているわけではなく、従来潜在していたものが顕在化しやすくなっているのかもしれません。

 それはシェア(エコノミー:共有する経済)やクラウド(ファンディング:大衆からの資金調達)、あるいはエシカル(倫理)といった言葉や行動によって実践されつつあります。加えて、それが実現可能になった背景にはICT(情報コミュニケーション技術)の驚異的な発展があったということは間違いありません。そしてそれらの多くが若者によって主導されたり下支えされたりしています。実践の全てが社会的弱者への配慮や再分配につながっているわけではありません。しかし、その基本部分にソーシャルな意識、すなわち社会の一員としての自己というものが(必ずしも明確ではないかもしれませんが)認識されているように思います。

 競争の勝者の哲学の復興、あるいは再構築と同様に、時代に応じた新しい理念を形作っていくことができれば21世紀をより希望的にとらえていくことができるのではないでしょうか。

 年明けに、少人数の高校生と経済・経営について話しあう機会がありました。その最後に上記の記事を紹介しつつ、経済とは何なのかについて考える時間を設けました。次代を担う若い人が少しでもこのようなことについて関心を持ち、自分なりに考え、行動してくれることを期待したいと思います。

尾道

※写真は昨年11月に行ったゼミ旅行での写真です。30年以上ぶりの尾道は依然として美しく、懐かしさで大いに癒されました。