2019年
02月22日

極限環境生物学会2018年度年会│長濱統彦教授

ちょっと前の話で恐縮ですが、極限環境生物学会2018年度年会(12月9日)に参加してきました。

みなさんは極限環境生物の名前を一種類でも挙げられるでしょうか?我々人間が想像する極限環境は、宇宙であったり、深海であったり、砂漠だったり、火山だったり、高濃度の塩湖だったりします。つまり、生物が生息しそうにない環境のことを我々人間の基準で「極限環境」と呼んでいるわけです。実際にはそのような環境の多くには生命が息づいていて、それを極限環境生物と我々は呼んでいます。

極限環境生物のほとんどは微生物であり、極限環境生物学会も以前は極限環境微生物学会という呼称でした。現在でも演題のほとんどは微生物関連の発表です。かつての地球が極限環境であり、そこには微生物しか存在しなかったことから、初期の生命に関する研究も盛んです。発表は、宇宙ステーションであったり、合成ゲノムであったり、好アルカリ性細菌であったり様々ですが、多いのは好熱性菌に関する発表です。微生物の殺菌に熱を使ったものが多いように、温度というのは生物にとって最も強いストレスとなります。

また、最も有名な好熱菌として、Thermus aquaticusという細菌がいます。生物系実験科学者の多くがPCRという手法を使いますが、これに必要なDNA合成酵素はThermus aquaticusから見つかったのです。極限微生物にはこのように応用的な側面もあります。