児童学科ブログ 第38回

保育者として大切にしたいこと
   ─ 豊田一秀先生・保育講演会

 

 2017年6月24日、保育講演会が開催されました。

 

ノートルダム清心女子大学 保育講演会

保育者として大切にしたいこと
     ─ 幼児理解と自己理解の相互性の中で考える

講師  豊田一秀 先生

元・玉川大学教育学部准教授

現・星美学園短期大学非常勤講師

 児童学科で保育を学ぶ学生達が集まり、また一般の方々にもご参加いただきました。

 

 豊田一秀先生は、お茶の水女子大学附属幼稚園の教諭として、長年子ども達の保育に携わったのち、大学院での研究、英国留学を経て、玉川大学では多くの保育者達を育ててこられました。

 今回のご講演では、豊田先生が保育者として歩んでこられた道程を、楽しいエピソードを通して語っていただきました。また、豊田先生が薫陶を受けられた、津守眞先生の保育者論についても、保育の実際に即して具体的にお話いただきました。

 

■ 太陽の教育

 豊田先生がさまざまに保育の本質を語られた中でも、保育とは「太陽の教育」なのだというお話が印象的でした。

 「北風と太陽」という童話は誰もがご存じだと思います。そのお話と同じように、保育者は指示や計画によって子どもを動かすのではなく、子どもの心に温かく寄り添います。それによって子ども達は主体的に前に進んでいくことができるのです。

 泣いている子どもに、「なぜ?」と尋ねるより、そっと差し出すハンカチや、優しい言葉が、子どもの心を明るくします。そんなふうにかかわれる人こそ、子どもが本当の思いを告げられる保育者になれるでしょう。

 どんなふうに言葉をかけると、どんなふうに子ども達の心が動き、新たな保育が展開していくのか ─ 数々の具体的なエピソードは、豊田先生が子どもの心をよく知っているからこそ、語っていただけたのだと思います。

 

■ 学生達の感想から

 お話に引き込まれ、楽しんだり、考えさせられる中で、1時間半がとても短く感じられる講演でした。学生達もいろいろに触発され、豊田先生を引き留めては、日頃保育について考えていることを質問していました。

 学生達の感想をいくつかご紹介します。

 

  • ・私は、まだまだ子どもの気持ちに寄り添えていないなと感じました。先生のお話を聞いていて、こんなふうに子ども達に声をかけられる保育者になりたいと思いました。
  • ・保育者として大切なことは何か、まだ自分自身では語れないでいます。表面の理解ではなく、実質を伴う理解を自分の中で深めていける、豊かな人間でありたいと思いました。
  • ・子どもの気持ちに寄り添うって、どういうことだろう。一緒に遊ぶこと、楽しむこと、気持ちを理解すること...と考えてみたけれど、どれも十分でない気がします。その子が何を大切にしているか、どれだけそれを一緒に大切にできるか、ということかもしれません。豊田先生のお話を聞いて、考えさせられることがたくさんありました。まだまだお話を聞きたかったです。ありがとうございました。

 

■ ■ ■ ■ ■

 

 保育の探求は、どこまでも続く道のようなもの。児童学科の学生も、その出発点に立ったところです。これから歩む道を支えていく力、保育者としての将来につながる力を、大学では培いたい。

 今日の講演は、実習で子ども達と出会うとき、卒業後に専門職として保育にあたるとき、将来経験を積んだ保育者として自らを振り返るとき、いつかまた思い返されるでしょう。そのたびに、保育の本質について新たに考えることができる手がかりを、豊田先生からいただいたように思います。

(文責:児童学科 西 隆太朗)

 

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児童学科ブログ 第37回

池上彰先生の「大学論」

 

 児童学科の1年生159名が,ジャーナリスト・池上彰先生の「大学論」の講義を受けました。

日時:平成29年5月13日(土) 13:30~15:00

場所:ノートルダム清心女子大学・カリタスホール

 

 第1学年の必修科目「総合演習」の講義の一環で,例年,故・渡辺和子 ノートルダム清心学園理事長が「リベラル・アーツ」について特別講義を行っていた時間です。

 

 池上彰先生は,東京工業大学のリベラルアーツ研究教育院で現代史を教えておられます。それならば,リベラル・アーツについてお話いただければと,本学児童学科・石原金由 教授が依頼し,今回の特別講義が実現しました。ご多忙を極める池上彰先生が本学に来てくださるという大変貴重な機会となりました。

 他学科の学生や教職員も加わって,約460名収容の会場がほぼ一杯になりました。

 池上先生のご講演では,学生に向けてたくさんのメッセージがありました。

 

・学問の世界では,すべてを疑え。

・すぐに役立つことはすぐに役に立たなくなる。すぐに役に立たないように見えることも,いろいろなところで(生き方,仕事,人とのつきあい等)いつか役に立つ。

・リベラル・アーツは,自由な人間として生きていくために必要な力。

・バラバラの「知識」が結びついて「理解」となり,宗教の力や自分なりに考えることを通して「知恵」となる。

・英語が話せないのではなく,英語を使って話すべき教養を持っていないのだ。

・教育とは,決して人に取られることのない財産。

・読書は読むだけではダメ。立ち止まって考えることが必要。 等...

 

 講義の最後には,質問の時間をとってくださいました。6名の学生が進んで質問に立ちました。先生は,どの質問にも1つ1つ丁寧に答えてくださいました。

 池上先生のユーモアと具体例を交えたリベラル・アーツのお話は,いつまでも学生や私たち教職員の心と記憶に残ることと思います。

 池上彰先生,本当にありがとうございました。

 

(文責:児童学科 准教授 杉能道明)

 

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児童学科ブログ 第36回

京都奈良研修旅行 ─ 美術研究室

小田久美子 准教授

 

 美術研究室(美研)では、3年生の授業で西洋美術と日本美術について学びます。そして美研所属の新4年生は、毎年4月に、京都・奈良へ3泊4日の日本美術研修旅行に出かけます。この行事の歴史は古く、児童学科開設の後4年目から始まったことから計算すると、49年の伝統を持つと言えます。

 2017年も、4年生11名と片山裕之学科長と小田久美子の教員2名で、4月12日に出発し4日間の行程を無事終えました。

 研修で訪れた寺院・博物館を順番に並べると以下のようになります。

 

京都国立博物館(新館)-三十三間堂-岩船寺-当尾の石仏-浄瑠璃寺-興福寺-新薬師寺-十輪院-元興寺-東大寺南大門-東大寺ミュージアム-東大寺大仏殿-三月堂-二月堂-戒壇院-奈良国立博物館-聖林寺-大野寺(弥勒石仏)-石位寺-室生寺-中宮寺-法隆寺-薬師寺-唐招提寺-秋篠寺

 

 京都国立博物館で開催されていた、龍を描けば日本一:桃山最後の師匠、開館120周年記念特別展覧会「海北友松展」の鑑賞が旅の始まりです。

 

 今年は、満開に咲く美しい古都の桜が我々を迎えてくれました。写真とともに古美術の旅の雰囲気を少しでもお伝えできればと思います。

 

 京都 岩船寺と浄瑠璃寺の周辺にある石仏を巡ります。平安時代や室町時代というずっと昔の人々が磨崖仏に寄せた思いを感じながら、進みます。五感で感じる仏像の旅、ここでは触覚で。磨崖仏を触ってみます。

 

 東大寺大仏殿を後ろに記念撮影。広い東大寺を歩いて回ります。この日は1日中徒歩移動です。その歩数23000歩!

 

 二月堂から戒壇院に向かう回廊も桜が満開でした。

 

 フェノロサによって明治20年に秘仏の封印がとかれたという、十一面観音についての片山教授からの説明を、学生たちは真剣に聞きます。国宝や重要文化財の持つ力強さに圧倒されながら、若い感性で受け止めているように見えました。この旅では、「ほんもの」に触れるだけではなく、多視点的鑑賞方法、真剣に何かに取り組む姿勢や向き合い方も学んでいきます。

 

 世界最古の木造建築が残る法隆寺では、特別開扉中の秘仏である観音菩薩立像(救世観音)をはじめとした数々の国宝を拝観します。また、戒壇院等でこれまで観てきた四天王像との比較もしました。

 「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」

 

 女人高野の寺・室生寺金堂に続く階段をどんどん登ります。春は桜・石楠花がきれいなお寺です。

 

 この3泊4日の研修旅行で、本物(国宝・重文)を見るということの意味を体感し、またゼミとしての「和」も高まったと思います。 卒業年度にあたって、美研の4年生たちには、絵画を描き上げていく人もいれば、美術に関する研究論文をまとめていく人もいます。描く人も書く人も、これからも励まし合いながら、学び合いながら、学びの集大成である卒業制作・卒業論文の完成を目指して、室生寺の長い階段を仲間と登ったように一歩一歩あゆみを進めていってほしいと、私たちは願っています。


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児童学科ブログ 第35回

絵本のたのしい運び屋さん! ─ 文化学研究室

村中李衣 教授

三宅一恵 講師

  

 児童学科の文化学研究室では、児童文学・絵本をはじめ、子ども達を取り巻く文化について研究しています。

 この文化学研究室に、「面展台」5脚が届きました。

 面展台(めんてんだい)とは、本の表紙を平置きで見せるための展示台です。

 今回研究室に導入したものは、段ボールを使った手作り品で、奈良在住の絵本研究家・加藤啓子さんが紹介されています。何しろ軽いことと、シンプルで絵本の表紙の美しさを引き立てることができるのが特徴です。

 幼稚園や保育園、様々な施設での絵本読みの場面や、被災地での読みあいワークショップ、図書館や小学校でのブックトークの場面など、どこにでも持ち運べ、さっと会場づくりができるので、全国あちこちで、活躍しています。

 これは、村中が、東北の被災地で絵本の読みあいを行ったときに用いた面展台です。

 ぜひ、本学にも置きたいなぁと考えていたら、たまたま瀬戸内市にあるボランティア団体「パトリシアねっとわーく」のみなさんが、実際に制作のワークショップを催され、その完成品の一部を分けていただくことができました。

 ほら、このとおり! 華奢な三宅先生でも、素早くセッティング。

「軽〜く持ち上げられます。」

横から見ると、こんな感じ。

 絵本なら大型本でも、6冊は悠々飾れます。

 春浅い今の季節にぴったりの絵本を飾ってみました。

 ほら、どんな絵本か知りたくなりませんか?

 せっかくですから、少しご紹介しましょうね。

 

『はなをくんくん』

 ルース・クラウス 文 マーク・シーモント 絵 きじまはじめ 訳 福音館書店

 雪深い森の中にも、かすかな春の気配が。くんくん、くんくん、すこしずつ、すこしずつ、みんなの好奇心が集まって......

 ちいさな春の喜びを動物たちといっしょに分かち合える一冊です。

 

『ライフタイム』

 ローラ・シェーファー 文 クリストファー・サイラス・ニール 絵

 福岡伸一 訳 ポプラ社

 生きていること、生きていくことには、いくつもの約束事がある。その約束事の中に潜む数字が語る秘密に、驚いたり胸打たれたり。

 「なぜ?」の心を育てるきっかけにもなります。

 

『たねのはなし』

 ダイアナ・アストン 文 シルビア・ロング 絵 千葉茂樹 訳 ほるぷ出版

 春になれば色とりどりの花ばかりが注目されがちですが、実はその花の源、種こそとってもおしゃれでかしこいのです。

 世界で一番小さい種は、ランの種。ひとつのさやに100万個の種が詰まっているんですよ。植物のミクロの世界へわくわくGO!

 

『ぽとんぽとんはなんのおと?』

 神沢利子 作 平山英三 絵 福音館書店

 外の世界を知らない穴の中のこぐまたち。春が近づくにつれ聞こえてくる音を母さんぐまに尋ねるたびに、優しく教えてくれます。

 耳を澄まし、匂いをかぎ、言葉をかわし、想像をめぐらすことの楽しさを感じられる一冊です。

 

『ぴたっ!』

 あずみ虫 作・絵 福音館書店

 だーい好きな人と「ぴたっ!」とくっつくたびに、匂いや、やわらかい感触、息遣いが聞こえ安心感に包まれますね。

 親子でこの絵本を見ていると、「ぴたっ!」とお家の人にくっつく子どもたちのかわいい姿が見られます。

 

『ふゆめがっしょうだん』

 冨成忠夫・茂木透 写真 長新太 文 福音館書店

 いろいろな表情の顔・顔・顔......と思ったら、なんとそれは、じっと春を待つ木の芽の拡大写真!

 読んでもらった子どもたちは、さあ、外に飛び出して、いろんな顔に出会いに行くことでしょう。

 

 新しい季節の扉を開けるみなさんの思いに寄り添える絵本をいっぱい載せて、面展台ががフル稼働しますように!

 

 

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児童学科ブログ 第34回

クリスマスのおくりもの ─ 音楽研究室

 

 2016年12月、児童学科・音楽研究室の3・4年生が作り上げた、クリスマス・コンサート。

 子ども達と家族に楽しんでもらったコンサートへの取り組みと、当日の様子を、写真でお伝えします。

 ■ ■ ■ ■ ■

 

 昨年度のクリスマスコンサートを終えて、新4年生はすぐに台本作りに取り掛かります。いろいろな案が出ましたが、今年度のタイトルは「クリスマスのおくりもの」。テーマは、どんな人にも良いところがあり、ありのままの自分でいい! に決定です。4月になったら、物語のあらすじが3年生に伝えられ、4年生からアドヴァイスを受けながら3年生も初めての台本作りに取り組みます。

 夏休みまでに台本、作詩・作曲、大道具・衣装などのデザインを決定します。そして、夏休みに入ると、岡本直行先生(新見公立短期大学准教授)をお招きしてのご指導も受けながら、大道具制作に取り掛かり、同時進行で小道具、衣装制作も行われます。音楽研究室は、演奏だけしているイメージがあるかもしれませんが、電動ドリル、のこぎり、トンカチからミシンまで器用に何でも使いこなし、舞台に関わることすべて研究室のメンバー全員で作り上げていきます。夏休み明けからは演技や音楽の練習に取り組み、12月になると照明や音響をつけての最終の仕上げに取り掛かります。

 さあ、今年度のストーリーです。

 まず第一幕はおもちゃランド。もうすぐクリスマスを迎えるおもちゃランドでは、おもちゃたちが、サンタさんに子どもたちのところへ連れて行ってもらえるのを楽しみにしています。しかしロボットのライアンだけはなぜだか元気がありません。みんなが自分のいいところを自信を持って紹介している姿を見て、自分に自信がもてないライアンはその場から逃げ出してしまいます。

 第二幕、おもちゃ工場。おもちゃランドを逃げ出したライアンは、自分を作ってくれたおもちゃ工場の住人アタフと出会い、おもちゃ工場へ行くことにします。おもちゃ工場では、今年プレゼントされる最後の2体を作っているところでした。

 残り一体になったとき、急に雷が落ち、人形に命を吹き込む装置が壊れてしまいます! 急がないとサンタさんが来るまでに人形を完成できません。みんなはしばらく使われていなかった古い装置があることを思い出します。しかし、全員で動かそうとしてもさびついて動きません。みんなは力持ちのライアンに助けを求めます。最初は自信のなかったライアンもみんなの必死の説得に、試してみることにします。

 ライアンのおかげで機械も動き出し、最後の一体もついに完成します。そこでライアンは、小人たちが願いをこめて自分を作ってくれたこと、そして、自分にもいいところがあることを知ります。自分らしさを取り戻したライアンはおもちゃランドへ戻り、子どもたちのところへ届けられるのでした。

 コンサートの最後はメンバー全員でのクリスマスメドレーです。このような一年にも及ぶ創作活動を通して、学生たちはゼロから創造する楽しさや、みんなで一つの作品を完成させる喜びを感じていきます。そして、子どもたちの喜ぶ姿を見て、「苦労して作ってきて良かった」という達成感も味わい、大きく成長していきます。

 

今年の子どもたちへのプレゼント。毛糸で作ったクリスマスツリー。

 

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