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第11回(2005年度)の出品作品 紹介
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阿部祥佳 臨・文徴明『行書詩巻』
【解説】 文徴明〈成化6年(1470)〜嘉靖38年(1559)〉、初名は璧。字は徴明。蘇州の人。『行書詩巻』は、徴明88歳の作。内容は、春秋時代に蘇州を都とした、呉王の墓のある虎丘で詠んだ七言律詩旧作四首を書いている。
【所感】 右上がりの、背勢でみずみずしく、勢いのある字形の美しさに惹かれて臨書しました。書いているうちに、文徴明の文字の特徴が自分の普段書く字の癖と似ているように思えてきて、非常に楽しみながら書くことが出来た作品です。書き上げてから気付いたことですが、少し行間が開きすぎているのが残念です。また、墨色にももっと気を遣えば、より引き締まって見えたように思います。
梅島優里 真壁仁「峠」より
【所感】 少字数と違い文字数が多いので文字の配置や流れ方を考えるのが楽しかったです。最初は縦2列に分けてみたり、淡墨で書いてみたりしましたが、結局は横に三つのかたまりを作ることにしました。下のほうが少し開きすぎたかとも思いましが、「ながれている」の山の頂上付近の空気の薄い感じや、どこか空虚な感じが出ていればいいなと考えています。それと今回は布を選ぶのにすごくイメージがしやすかったです。峠の上で見る、抜けたような青空の清々しさや空気の冷たさを感じてもらえれば嬉しいです。
榎原優子 臨『大盂鼎』
【解説】 大盂鼎は、西周第一の大器の銘文と言われています。力強さにあふれ、古意豊かな書風を持ちます。造形的にも整斉で力強く、生命感あふれる構築性の強い文字です。
【所感】 金文はとても生命感に溢れる勢いのある文字です。全紙×2のような大きな作品を書くにあたり、迫力のあるものにしたいと思ったので、金文の作品にしました。欠字が多く、またどう書いていいのかが非常に分かりにくかったので、悩みながら書いていると勢いが中々出ず、力強さを表現するのにとても苦労しました。また、何度書いても「塗り絵」のようになってしまいました。
後藤文佳 「恋ノウタ」
【出典】 三枝克之著 『恋ノウタ』角川文庫 平成十五年六月初版
【解説】 「相見ては 恋慰むと 人はいへど 見て後にぞも 恋まさりける」(巻十一・2567)「立ちて居て たどきも知らず 我が心 天つ空なり 土は踏めども」(巻十二・2887)の2首を相聞歌のように配置し、「ポップスの歌詞のような感覚」で翻訳された現代語訳を背後に置いた。
【所感】 短歌や古文が嫌い、という人は沢山いるでしょう。しかし、万葉集を私たちの身近にあるようなポップスの感覚で翻訳したとき、「ひとの想い」は1200年以上の時を隔ててなお変わらないことが分かると思います。まずは離れて全体を見て、そして近寄って意味を知り、「一粒で二度おいしい」感覚を味わっていただけたら本望です。
近藤裕子 一字書「龍」
【所感】 『龍』がこの形になるまでいろいろと試行錯誤を繰り返しました。
最初は「龍吟」という二字で考えていました。でも、なかなか納得いくものが出来ずギリギリまで思案しました。字体、線、余白などたくさん試した結果、最終的には一字で表すことにしました。龍が空で唸っている様子をイメージして書きました。
島千裕 臨『本阿弥切』
【解説】 本阿弥切は、かつて本阿弥光悦(1558〜1637)が愛蔵していたと伝えられるところからこの名がある『古今和歌集』の古写本である。三蹟の一人、小野道風の書と伝えられるが、道風特有のゆったりとした筆運びは見られず、むしろどちらかといえばそれとは対照的にテンポのよい筆線が特徴となっている。
【所感】 漢字の全紙作品は小さい字を書いたので、仮名は大きく書きたいと思い、拡大臨書にしました。本来なら拡大臨書は、創作につなげるためのステップなのですが、今回はあえてそのステップの段階のものを作品にしました。しかし、原本の特徴を捉えながらも、その中に自分の線を出したつもりです。
千北智子 一字書「志」
【所感】 「およそ青年が心の中で強く信じ、その実現を期待した事柄は、やがて歳月を経て現実化する」という言葉を教わりました。未だ不安や挫折の多いのが現在の私達です。しかし、「志」は純粋にまっすぐに上に向かいたいという思い、また、その「志」は単なる自己実現や自分の為だけのものにはしてはいけない、横の広がりを持たなければいけないという思いが表現できたらと思いました。今後も、未熟な自分との戦いの連続だと思いますが、《現在の私》の「志」は忘れず、残しておきたいと思いました。
林昌子 一字書「雲」
【所感】 「雲」は豊かな恵みと平和の象徴と考えています。隷書にしたのは、雲らしく空に溶け込んでいる姿を表現したかったためです。青く澄み切った空に浮かぶ雲は、見ていてとても幸せになる気がします。余白を意識し、広がりのある印象を与えるよう工夫しました。
山口百合子 一字書「繋」
【所感】 「繋ぐ」というのは私にとっての愛のカタチです。教育実習中、性教育の時間に「あなたにとっての“愛”を表して下さい」という課題を与えられ、頭に浮かんだのが、人とヒトが手を繋いだ姿でした。片手は自分、もう一方の相手は友達であったり恋人であったり家族であったり…。物騒な事件の多い今ですが、私たちの手は人を傷つける為ではなくて、繋いで温かい気持ちになる為にあるのではないかと私は思います。だから、私にとっての大切な人たちのことを想いながら書きました。どんな書体にするか、かなり迷ったのですが行書体にしました。糸の最後の点を伸ばすことで、人とヒト見えない糸で繋がっているんだということを表現したつもりです。

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